家族は今日も尚、最も優先すべき社会の集団であり、極め て重要な社会的組織のひとつである。生活の中心としての 家族の意義は、薄れるどころかむしろ次第に高まってきて いる。国民のおよそ90%が家族を最も大切なものとして捉 えている。若い人たちの間でも家族は重視されている。12 歳から25歳までの年齢層の72%が、幸福であるためには家 族が必要だと考えている。 しかし、家族に対するイメージや家族構成は社会の 変化に伴って大きく変わってきた。伝統的な一般市民の思 い描く家族とは、永続的に婚姻関係にある夫婦が、明確な 役割分担のもとに複数の子供を養うというものである。つ まり父親は仕事を持つ扶養者であり、母親は家事を担う。 この「扶養者型モデル」は、実は今でも健在で、たとえば 社会的に低い階層の家庭、移住者の家庭、そして一時的な 現象として子供がまだ幼い家庭などに残っている。しかし これはもはや優勢な生活形態ではない。 共同生活の形態は極めて多様化している。様々な家 族のあり方を選択する自由、あるいは家族というあり方を 全く放棄する自由は拡大した。これは女性の役割の変化と も深く関わっている。今日では、64%の母親が職業に就い ている。家族を構成する人数も少なくなってきた。子供が 3人以上いる家庭よりも子供1人の家庭の数が多い。典型 的な家族の形態は両親と子供2人の家庭である。子供がい ない人生を送る人も、パートナーと暮らしているかいない かに拘わらず以前より多くなっている。1965年に生まれた 女性のほぼ3人に1人は今日まで子供を産んでいない。 変わったのは生活形態だけではない。道徳的な基本 姿勢も変わってきている。パートナー間の貞操は今日もな お重要と考えられてはいるが、共同生活をずっと続けなけ ればならないという規範はゆるくなっている。それに反し て、パートナー関係の質への要求度は高まっている。ここ 数年に結婚した夫婦の約40%が離婚している原因の一つが ここにある。普通はその後は再婚するかあるいは新しいパ ートナーとの共同生活が営まれる。婚姻を結ばない非婚同 棲生活の増加も顕著である。 特に、若い人たち、あるいは、別れた直後の人たち の間で「婚姻証明書のない関係」が好まれている。このた め非嫡出子の数もまた増加している。西側ドイツではおよ そ4分の1、東では半数以上の子供が非婚家庭に生まれて いる。この結果、子供が生みの親ではない義理の父あるい は母と暮らす継父(母)家庭と子供をどちらか一方の親が 育てる単親家庭が増加した。子供のいる家庭の5分の1が 単親家庭であり、そのうちのほとんどは母親が1人で子供 を育てる家庭である。 過去数十年間の間に、家族の中の関係も変わってき た。総じて両親と子供の関係は極めてよい。もはや従順、 従属、依存で家族関係が決まるのではなく、むしろ意見を 延べ合い、互いが同等の権利を持ち、助け合い、慈しみ、 しつけは自立させるために行うというのが現代の家族関係 の特徴である。 三世代が一つ屋根の下で同居することは稀になって きたものの、成人した子供と両親、祖父母と孫の間には強 い心の絆がある。