背景

世代間契約

公的年金保険の財源を賄うシス テムをこう呼ぶ。現在就労して いる世代が賦課方式で支払う保 険料で、既に職業生活を終えた 世代の年金給付を行なう。現在 の就労者がいずれ受け取る年金 は次の世代が負担してくれるこ とが前提となっている。最初の 老齢保障制度はすでに1889年 に導入された。今では就労者全 体の80%が公的年金保険に加入 している。この制度には被用者 と使用者が折半して負担する保 険料の他に、連邦の補助金も投 入されている。2002年以降、 公的年金は国が助成する個人積 み立て方式の老齢準備金で補わ れている。民間労働者には公的 年金、公務員や自由業者には恩 給やその他の保険によって、老 齢保障が行われている。

伸び続ける平均寿命

20世紀の初頭には約46歳であった平均寿命は、今日のドイツでは男性は77歳、女性はさらに長く82歳である。

労災保険

公的労災保険は、企業が被用者 のために加入する責任保険で、 労働災害や職業病による被害か ら被用者を守っている。

医療保険

国民のほとんどが、公的(90%)または民間(10%)の医療保険に加入している。公的医療保険は、治療費、薬剤費、入院費、そして予防費を給付し、保険 料は使用者と被用者がそれぞれ半分を負担する。公的医療保険の加入者の家族で生業に就いていない者の保険料は納めなくてよいことになっている。

失業保険

ドイツでは失業者に援助を受ける権利がある。公的失業保険の保険料を、失業から遡る2年間に12ヶ月以上納めていれば、失業の際に失業手当(直前の手取り 賃金の60%~67%)が支給される。失業手当の財源は、労使折半により納められる保険料である。手当の支給期間は6カ月から24カ月となっている。支給 期間終了後は、求職者のための基本保障(「失業手当II 」)を申請することができる。基本保障の支給額は困窮の度合いによって算定される。経済危機の際には、税金を財源とする操業短縮助成金が効果をあげた。こ れにより企業は困難な経済状況にあって、従業員の解雇を回避することができたのである。

市民権の獲得

継続的にドイツに居住する移住者は、一定の条件を満たせばドイツ国籍を申請することができる。2014年には10万8420人の外国人が市民権を獲得した。2013年の連邦議会選挙では、合わせて580万人の帰化移住者が投票権を持っていた。

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年金保険

公的年金保険は老後の保障にと って最も重要な柱である。財源 は賦課方式によって賄われ、被 用者と使用者が月々納める保険 料は、現在既に引退している人 たちに支給する年金に充てられ る。被保険者は、保険料を納め ることにより自らが将来年金を 受給する権利を得る。そして、 この将来支給される年金は、や はりその時の働く世代が納める 保険料によって賄われる(世代 間契約)。老後の保障にはこの公 的年金と並ぶ第2,第3の柱と して、企業年金や個人の積立方 式による老齢準備金があり、定 められた条件を満たせば国の補 助を受けられる仕組みになって いる。

生活水準

ドイツは世界で最も生活水準の 高い国の一つである。 国連の人間性開発指数(HDI) によると、ドイツは平均寿命、 識字率、1人あたりの所得が世 界で最も高い国の一つである。 医療制度は広範な医療供給を可 能にし、公的医療保険、介護保 険、労災保険、年金や老齢準備 金、そして失業保険などの社会 保障制度が国民を生活リスクか ら守っている。

男女同権

ドイツでは男女の同権が基本法 で謳われている。性別を理由に した労働条件と報酬における差 別の禁止が法律で明文化され、 女性の権利を保障するために多 くの法律が公布された。ドイツ はさらに、国と民間の様々な機 関による広範なネットワークを 通じて男女同権に取り組んでい る。「ジェンダー・メインストリ ーミング」の導入によって、女 性政策はあらゆる管轄と行政を 横断する課題として統合され、 男性と女性の生活条件が平等に なるために国が能動的な役割を 担うようになった。これらの政 策には成果が現れている。女性 の経済および政治への参加を測 る国連のジェンダー・エンパワ ーメント測定では、ドイツは世 界で第9位であり、世界でも高 いポジションに位置する国の一 つである。

社会国家

社会国家という基本原則は基本 法第20条に明記されており、仮 に基本法が改正されてもこの原 則を放棄することはできない。 これにより基本法は、自由に関 する諸権利と共に、人間として 生存するための生活基盤を国民 に保障することを国家に義務づ けている。一方個人は、自分た ちの社会保障に関する責任の一 部を担わなければならない。

社会扶助

社会保障網を補完するものとし て、税金から支給される社会扶 助がある。社会扶助は困窮を自 力あるいは家族の財力で克服す ることができない場合に与えら れるものである。このほか、社 会扶助と同様の基礎的給付とし て、高齢者や長期的労働不能者 のための基礎保障、さらには生 計援助のため、もしくは特別な 生活事情に対処するための国に よる扶助などがある。

移住

ドイツではすでに19世紀より、多くの移住者の目的地であった。20世紀後半よりヨーロッパで最も移民の多い国となった。1950年の時点では人口に占め る外国人の割合は約1%、合計約50万人であった。以後状況は大きく変わった。現在ドイツには720万人の外国人が暮らしている。これは人口全体の 8.9%にあたり。

高齢者のライフスタイル

高齢者はただ年を重ねているだけではない。彼らは従来の高齢者たちよりも健康で、活発で、積極的である。経済的な余裕も十分にある。60歳以上の人たちが 購買力のほぼ3分の1を支えている。50歳以上の人たちのライフスタイルは著しく変わった。およそ2人に1人はフィットネスや健康に気を配っており、した がってさまざまな活動やスポーツがますます重要になってきている。60歳以上の3人に1人がほとんど毎日スポーツをする。