充実した社会福祉国家

月々の児童手当を支給して、国は家族を支援している ―― 就学前児童の保育制度も拡充された
月々の児童手当を支給して、国は家族を支援している ―― 就学前児童の保育制度も拡充された Vetta/Getty Images
さまざまな法定保険のきめ細かいネットワークが、市民を生存にかかわる危機から保護している。社会保障制度の伝統は19世紀にまでさかのぼる。

ドイツでは幅広い社会保障制度が整備されている。他の発達した民主主義国家と同じく、社会保障費は国家支出の中で最大の個別項目である。2016年にはおよそ9,180億ユーロが公的社会保障費にあてられた。これは国内総生産(GDP)の29%にあたる。福祉国家的な社会保障制度には、19世紀後半、ドイツの工業化の時代にまでさかのぼる伝統がある。この伝統は、当時の宰相オットー・フォン・ビスマルクと関係がある。

dpa/Sebastian Gollnow

ビスマルクのもとで、1883年、まず労働者のための義務的な疾病保険が導入された。このとき制定された社会福祉関連の法制度は、その後拡充され、社会福祉国家のよってたつ基盤となったのである。ドイツ連邦共和国の基本法では、社会福祉国家の原理は第20条第1項と第28条で定められている。これをどのように実現していくかについては、政治と社会はその都度あらたに検討していかなければならない。特に少子高齢化により、制度の適合は必須となっている。

暮らしに関わる危機から保護するためのセーフティーネット 

国民は現在、公的な健康、年金、事故、介護、および失業保険によるきめ細かいネットワークによって、暮らし関わる危機や脅威から守られている。セーフティーネットとしてはこのほかに、年金生活者や継続的就労不能者のための基礎保障や、家族給付調整などの税法上の措置(児童手当、税の優遇)がある。家族はひと月に第1子と第2子には194ユーロ、第3子には200ユーロ、それ以降の子供には225ユーロを受給する。これは2018年はじめにさらなる引き上げが行われた結果である。2018年3月に成立した大連立は2019年に児童手当をさらに25ユーロ上乗せする予定。それに加え連立協定には子供の権利を基本法に加える計画が盛り込まれている。

2014年に発効した年金パッケージにより、特に高齢者の状況が改善された。この改革では、63歳以降の年金満額受給やいわゆる母親年金などが導入された。母親年金は、子供の養育活動に対して敬意を表するものである。

1992年以前に生まれた子供を養育していた母親には、今日の両親が利用しているような保育制度がなく、労働界でのチャンスも少なかった。そんな中での養育活動が、今後、母親年金によって報いられるのである。およそ950万人の女性(およびわずかの男性)が、2014年7月から、子供ひとりあたり年間300ユーロ以上の年金を受け取っている。

45年間掛け金を支払った長期年金被保険者は、2014年7月1日以降は、63歳から老齢年金を満額受け取ることができる。2018年2月末までに982,000の申請があった。

ドイツでは疾病保険は法定の義務である。医療措置は、病院や診療時、リハビリ施設で行われる。    

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